2009年06月16日
至近要因?感情の脳科学
生理学的には、感情には身体感覚に関連した無意識な感情と意識的な感情があるとされる。前者を(emotion, 日本語訳は情動)、後者をfeelingと言い分けることがある。意識的な感情(feeling)には、大脳皮質(大脳の表面)とりわけ帯状回、前頭葉が関与している。無意識な感情の情動には、皮質下(脳の中心の方)の扁桃体、視床下部、脳幹に加えて、自律神経系、内分泌系、骨格筋などの末梢(脳の外の組織)も関与する。
emotionについては情動を参照のこと。
たとえば我々が恐怖を感じるとき、同時に脈がはやくなり、口が渇き、手に汗を握るのを感じる。恐怖を感じているのは皮質であり、末梢の反応(動悸など)を起こすのは皮質下である。感情について考えるとき、両者を切り離して考えることはできない。
アントニオ・ダマシオは、スタンレー・シャクターらの情動の二要因理論を発展させ、感情を体験・認識することは、刺激に対して発生した身体反応を説明するために皮質が作るストーリーであると主張している。例えば、被験者にアドレナリンを注射した後で不快な環境に置いたところ、アドレナリンの副作用を知らされていない被験者は、アドレナリンにより起こった動悸や冷や汗などの反応を環境のせいにし不快がったが、副作用を知らせておいた被験者はアドレナリンのせいだと判断し、不快さも少なかったという。つまり皮質が、身体の反応を、前後の文脈と照らし合わせて解釈し感情というストーリーを作ったということになる。
マグダ・アーノルドの説では、外界からの刺激に対して、まず危険であるか有益であるかを皮質下で無意識に判断し、次に皮質でどう行動するかを判断し、次に末梢の反応(交感神経の興奮、骨格筋の緊張など)を起こし、最後に皮質にてそれを意識的な感情として認識するのだという。この説は、強い感情を惹起する視覚刺激を短時間(30ms以下)呈示すると、意識上は認識できない(サブリミナル効果参照)にも関わらず末梢では反応が見られるということなどからも支持される。
補足1
上記したような身体と感情の密接なつながりは、感情に関係する日常的な言葉にもよくみられる。例えば、「胸が痛む」、「断腸の思い」、「血湧き肉躍る」、「手に汗握る」、「胸をおどらせる」、「腹が立つ」、「はらわたが煮えくり返る」、「頭に血が上る」、「むかつく」、「苦々しい」、「鉛を呑んだような」、「ちむぐりさ(=肝苦しい、沖縄方言)」など。このうちの幾つかは典型的な交感神経亢進反応であり、幾つかは消化管症状である。
補足2
精神疾患の治療に用いられる認知行動療法は、「認知の仕方を変えることによって感情を調整する」という理論に基づいており、皮質と皮質下の相互作用を応用した好例と言える。また、自律訓練法は「手が暖かい」「気持ちがおちついている」など、リラックスした身体状態をイメージしながら心身の緊張をとる訓練法であり、ストレス解消、心身症、神経症などの治療に用いられる。これも末梢の自律神経反応と感情の相互作用を応用した一例である。
個体発達
主要な感情は4歳頃までには形成される。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
幼い赤ん坊でも生後数日で母親の表情に反応するようになる。人には感情が必要不可欠なんですね。
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